社説/金融政策の転機(下)日銀「正常化」へ24年春闘に期待

(2023/12/13 05:00)

日銀は18、19の両日に金融政策決定会合を開く。金融政策の先行きを示す指針(フォワードガイダンス)を修正し、金融政策の正常化に向けた地ならしを進めるか注視したい。日銀が2024年4月にマイナス金利政策を解除し、金融政策が正常化されると予測するエコノミストが多い。24年春闘で「賃金と物価の好循環」が確認されることが正常化の前提となるだけに、中小企業を含む産業界全体の意欲的な賃上げに期待したい。

日銀の植田和男総裁が7日の参院財政金融委員会で、金融政策運営について「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」と発言。金融政策の正常化が近いと受け止められ、円ドル相場は一時1ドル∥141円台まで円高が進んだ。

ただ7―9月期の需給ギャップはマイナス0・5%と需要不足の状況で、10月の実質賃金も19カ月連続で減少。政府は11月の月例経済報告で、現状の景気判断を「一部に足踏みがみられる」に下方修正した。大企業を中心に業績堅調ながら、設備投資で慎重姿勢が示されたのが気がかりだ。中東情勢や中国不動産の低迷など、世界経済の先行き警戒感が背景にある。日銀はしばらく金融緩和路線を継続し、正常化の出口を慎重に探りたい。

植田総裁はイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)を2回修正した。金利を抑えるための大量の国債購入を見直し、市場機能に配慮してきた。その日銀が金融政策を正常化し、マイナス金利政策やYCCを解除すれば、過度な円安が是正される。金利上昇に伴う国債利払い費の増額や、日銀という国債の安定的な受け皿を失うことで政府に財政規律を促す効果も期待できよう。24年春闘で脱デフレへの道筋を付け、正常化の環境を早期に整えたい。

政治資金パーティーをめぐる問題で、アベノミクスを推進する安倍派の勢力が低下すれば、日銀が金融政策を正常化しやすくなるとのエコノミストの指摘もある。だが政権の混迷は他の政策の遂行に打撃となりかねない。岸田文雄政権と世界経済の先行きにも警戒したい。

(2023/12/13 05:00)

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