CO2直接回収、農業に活用 双日など5者、施設で光合成促進

(2024/3/13 17:00)

双日と三菱UFJ銀行、九州大学など5者は13日、大気中の二酸化炭素(CO2)の直接回収技術「DAC(ダイレクト・エア・キャプチャー)」の農業への活用について連携協定を締結したと発表した。特殊な膜を使って回収したCO2をビニールハウスなどの園芸施設に投入して農作物の光合成を促進し、収穫量の増加につなげる。開発済みのCO2回収の基礎技術を活用し、農業向けの装置を開発して実証実験を開始する。

  • DAC装置で回収したCO2を園芸施設内に投入する(イメージ)

今回の連携協定には、双日や九州大学などが出資するDAC専門会社Carbon Xtract(カーボンエクストラクト、福岡市西区)と全国農業協同組合連合会(JA全農)も参画した。JA全農の研究施設を使って、九州大学などが開発するDAC装置の農業への活用を検証する。

国際的に研究開発が進むDACは、CO2を吸着させた素材を加熱などしてCO2を分離・回収する手法が一般的で、大型機の設置場所やエネルギー消費が課題となっている。一方、九州大学などのDACはCO2の透過性が高い「ナノ分離膜」を使って空気を濾過する独自技術で、電動の小型機に膜を装着して効率的に利用できる。

今回はDAC装置を園芸施設の屋外に設置し、回収CO2の濃度を農業用に調整する機能などを開発して実用化を目指す。双日と三菱UFJ銀行の事業構築力やファイナンス機能などを活用して早期の実用化を目指すほか、CO2の排出枠(クレジット)の創出も検討する。農作物の光合成の促進による収穫量の増加とカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を後押しする。

九州大学などが開発するDACは乗客が密集する電車や商業施設に設置すれば効率的にCO2を回収できる。CO2を溶接や冷媒などの工業用に使えるほか、合成メタンに変換すれば家庭で燃料として利用できる。双日や九州大学はDACの活用法を検討しながら、20年代後半の社会実装を目指している。

(2024/3/13 17:00)

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