[ オピニオン ]
(2016/11/17 05:00)
IoT(モノのインターネット)、ロボット、アディティブ・マニュファクチャリング(積層造形技術、AM)などの新たな技術がモノづくりを大きく変えようとしている。東京・有明の東京ビッグサイトで17日開幕する「第28回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2016)」では、こうした先端技術が随所で見られるだろう。
工作機械には内外で新たな市場が開けている。国内では自動車、機械といった主要ユーザーに続き、航空機分野が裾野を広げている。海外に目を向ければ、工作機械の一大消費国となった中国で今後、自動化に向けた設備投資が活発化するだろう。新たな競争に備え、工作機械メーカーは技術開発とサービス充実を競っている。
各社が提案するモノづくりの新しい展開の中で、目玉となるのはIoTだ。日本工作機械工業会の花木義麿会長(オークマ社長)は「第1のキーワード」と指摘する。今回のJIMTOFは、IoT時代のモノづくりの本格的な幕開けを告げることになりそうだ。
工作機械やロボットがネットを介して広範囲につながり、稼働状況などのデータを収集・分析し、設備の寿命や異常の兆候をつかむ。こうした機能を取り入れた工場のスマート(知性)化が現実になりつつある。IoT技術を生かしたスマートファクトリー(次世代工場)は、今後のモノづくりが進むべき方向を示しているといっていい。
新しい加工技術、製造プロセスの革新も見逃せない。高い関心を集めているAMは、日本メーカーが得意とする切削加工を組み合わせた異種複合マシンが見どころだ。生産工程にロボットを利用した自動化技術の進化も目を見張るものがある。
JIMTOF2016の出展規模は過去最大となる。先端技術を披露する技術展示会としての色合いが強いだけに、モノづくりの転換期にあたる時期の開催は、明日の製造業を占う意味を持つ。モノづくりに携わる側としては、披露される最新技術・製品を貪欲に取り入れ、成長への力に変えたい。
(2016/11/17 05:00)