(2021/10/8 05:00)
エネルギー政策は、脱炭素の観点から電源構成が注目されるが、安定供給を確実にするためには、送配電網(電力系統)の一層の整備と、運用の高度化の視点が重要だ。再生可能エネルギーの主力電源化には、電力系統や調整力の整備とセットで考える必要がある。
第6次エネルギー基本計画素案のパブリックコメントが4日に締め切られた。複数の団体が原子力や再生エネについて意見表明したが、電力系統への主張は目立たない。ただ、エネルギー政策の基本である「Sプラス3E」(安全性、安定供給、環境適合性、経済効率性)の安定供給面で極めて重要だ。
電気は蓄電池や揚水発電など特別な設備がないと保存できず、常に総発電量と総利用量を一致させる必要がある。このバランスが崩れると、周波数や電圧が不安定となり最悪の場合、大規模停電を引き起こす。
太陽光や風力など自然条件で出力が変動する再生エネを大量導入するには、変動を補うための火力発電や蓄電池、そして安定した送配電網が必要だ。
再生エネが普及している欧州では国をまたいで送電する「国際連系線」が張り巡らされており、電力が余った時も足らない時も臨機応変に対応できる。日本はさまざまな面で国際連系線の実現は難しく、再生エネが増えても国内で需給調整を完結させる必要がある。
エネ基素案では、洋上風力の適地である北海道から大消費地への長距離海底直流送電システムや、東北や九州と中央を結ぶ送電網強化が盛り込まれた。ただ莫大な予算が必要だ。
また、新規発電事業者の系統接続は先着順ルールだったが、余裕のない系統では実質的に参入できない。このため一部の基幹系統に限り実施している混雑時の出力制御を条件としたノンファーム型接続を、早期にローカル系統まで拡大するとした。
こうした現実的な対応は重要だ。電力供給の安定を欠き、産業や生活に影響を与えることがあってはならない。Sプラス3Eの堅持を大前提に、再生エネの増加を求めたい。
(2021/10/8 05:00)
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