産業春秋／思い切った経済対策

岸田文雄首相は１３日に内閣改造と自民党役員人事を決め、新たな経済対策の策定を指示する。停滞する内閣支持率の浮揚に向け、政権基盤の強化を図ると同時に、「思い切った経済対策」（岸田首相）で物価抑制と賃上げ・投資喚起につなげる。

９月末に期限を迎えるガソリン、電気・ガスの価格抑制策「激変緩和措置」の延長はすでに決めている。ガソリンは年末まで、電気・ガスは「新たな経済対策」が実行されるまで継続し、それ以降は拡充した施策に移行する。

新たな経済対策は２０２３年度補正予算案を編成して実施。持続的な賃上げに向けた「人への投資」や、成長投資も促すことで経済好循環につなげる狙いを込める。

内閣府の推計によると４―６月期の需給ギャップが３年９カ月ぶりにプラスに転じた。総需要が総供給を上回っており、需要を喚起する経済対策は必要なのだろうか。

需給ギャップのプラスは、同期の実質国内総生産（ＧＤＰ）成長率（改定値）が年率換算プラス４・８％と大きく伸びたためだ。だが実態は輸入の大幅減が寄与し、個人消費や設備投資は前期比で減少している。弱い内需と内閣支持率をいかに上向かせるか、まずは「人事」を見極めたい。