シチズンマシナリー、重作業を自動化 誰もが働きやすい職場環境に

(2023/10/18 12:00)

5月に長野県御代田町の本社で精密加工部品の新工場を稼働したシチズンマシナリー。工作機械の主軸を加工する研削工程では、重い加工対象物(ワーク)を加工機に載せ降ろしする重作業があったが、自律移動ロボット(AMR)の導入などにより大幅な自動化を実現した。この研削工程を初めて女性が担当し、生産性の向上と誰もが働きやすい職場環境を両立している。

  • 自動化で重作業をなくすなど性別に関係なく働ける職場を実現している

「性別や国籍に関係なく働ける環境をコンセプトに工場を建設した」。シチズンマシナリー生産技術部の小林勝義副部長は精密加工工場の狙いをこう指摘する。

同社は8台の研削盤を活用して主軸の精度をつくり込む。新工場では8台の研削盤の間のワーク搬送などに協働ロボット搭載のAMRやガントリーロボットなど3種類のロボットを導入した。

新たな研削工程では台にワークを載せるとAMRがつかみ、1台目の研削盤に設置。加工後にAMRがワークを回収し、洗浄、治具の取り付け、次の研削盤へと各ロボットが供給していく。残りの研削盤ではAMRを中心にワークの設置回収作業を繰り返し、全工程を終えると作業者が台からワークを回収して次の組み立て工程に送る。従来は研削盤1台ごとにワークの載せ降ろしが必要だったが、作業者は工程の最初と最後に台への載せ降ろし作業をするだけで自動で加工できる。

  • ロボットなどを活用し主軸の研削工程の自動化を拡大している

各研削盤ではAMRとの距離を把握してワークを正確に取り付け、計測も自動化するなど位置合わせを徹底する。温度変化によるワークの膨張を防ぐため、加工エリアに窓はなく、壁は発泡ウレタンで断熱。天井から空調の吹き出し口を多数設けて温度のムラも防ぎ、室内を20度Cプラスマイナス1度C以下の恒温にする工夫も凝らした。

工作機械の品質を左右する主軸は特に高い精度が求められる。小林副部長は「自動化のためにやれることはすべてやった」とし、研削工程で寸法公差1マイクロ―2マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の加工精度を実現した。

新工場には集塵機や脱臭機を取り付け、油などの臭いが苦手な作業者にも配慮した。5月から同研削工程を2022年度入社の女性が担当し、身体能力に関係なく働ける職場であることを証明し続けている。小林副部長は「加工現場の担当者には自動化した生産設備を使いこなすスキルを磨いてもらうことになる」と先を見据える。

(2023/10/18 12:00)

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