インタビュー/クロセ社長・黒瀬慶昭氏 熱交換器製造、動画で「属人化ゼロ」

(2024/4/10 12:00)

クロセ(大阪府高石市、黒瀬慶昭社長)は、化学工場や下水処理場で使うスパイラル式熱交換器を製造する。ほとんどの製品が顧客ごとのオーダーメード。ニーズに応じた個別のモノづくりを強みとする。中期経営計画では「属人化ゼロ」の目標を掲げ、製造現場の動画マニュアルを内製するなど独自の取り組みも加速している。黒瀬社長に展望を聞いた。

―自社の強みは。

「スパイラル式は2枚の伝熱板をらせん状に巻き取って細長い流路を作る。流路が一つしかないため、流体中の汚れが付着しても押し流しやすい。メンテナンスの手間をかけず、長期間使える利点がある。金属板を曲げる巻き取りにノウハウがあり、両手で抱えられるものから数十トンクラスまで製造可能だ」

―ステンレスの受託加工も始めました。

「レーザー切断機を使い、求められた寸法に切ったり溶接したりする加工を2023年に始めた。工場などの熱交換器は、企業が設備投資に積極的かどうかで受注件数が変わる。受託加工を新たな収益の柱に育てたい。熱交換器以外の顧客とつながる接点にもなる。売り上げはまだ小さいが、引き合いは好調だ」

―製造現場では業務の標準化を進めます。

「動画マニュアルの内製が一例。紙のマニュアルは従来もあったが、動画は分かりやすく具体的に手順などを伝えられる。既に15本以上を作り、社内サイトで公開中だ。加えて溶接の注意点など重要な“勘所”をまとめた紙のマニュアルを製品ごとに作り、いつでも確認できるようにした。紙上の2次元コード(QRコード)を読み込めば注意点を動画で見ることもできる」

―今後の展望は。

「海外向けの売り上げは5億―6億円程度で、全体の3割を占める。これを30年には10億円に伸ばしたい。3メガパスカル(メガは100万)の高圧に耐えられる熱交換器の開発を足元で進める。海外市場も見越した製品として将来販売したい。人材の面では経済産業省の認定する『地域未来牽引(けんいん)企業』として、地元出身者や高卒者を積極的に雇用したい。有給休暇取得率は80%以上で残業も少なく、資格取得の支援もある。福利厚生を充実させ、長く働いてもらう」

(2024/4/10 12:00)

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