[ 科学技術・大学 ]

遺伝性パーキンソン病、東北大が発症メカニズム解明 悪玉たんぱく質蓄積

(2018/1/29 05:00)

  • DNAJC13遺伝子の異常による神経細胞死誘導の概念図(東北大学提供)

東北大学大学院医学系研究科の長谷川隆文准教授らは、細胞内の物流システムに関係する遺伝子「DNAJC13」の変異が原因となる「遺伝性パーキンソン病」の発症メカニズムを明らかにした。変異が神経細胞への悪玉たんぱく質「αシヌクレイン」の蓄積と、ドーパミン神経細胞死を引き起こしていた。パーキンソン病の発症メカニズム解明や治療法開発につながる。

研究チームは、細胞内の物流システムに着目。DNAJC13遺伝子の変異で生じた異常なたんぱく質が、αシヌクレインの輸送や神経細胞の機能にどう影響するか、培養細胞やショウジョウバエモデルで解析した。

細胞内のαシヌクレインは、細胞内器官に集められた後、分解されるか細胞外へ分泌される。しかしDNAJC13に変異があると、αシヌクレインが次の目的地に到達するのを阻害し、細胞内に蓄積していた。

さらにハエを使った実験で、DNAJC13に変異を持つハエにヒトαシヌクレインを過剰に作らせると、脳内に不溶性のαシヌクレインが蓄積した。また、複眼の形態異常や脳内ドーパミン神経脱落、運動機能の顕著な悪化が見られた。

長谷川准教授は、「αシヌクレインはパーキンソン病の診断基準となる原因たんぱく質。細胞から取り除いたり、うまく排出したりする薬剤の開発につながる」と話した。大阪大学大学院との共同研究。成果は英国科学誌ヒューマン・モレキュラー・ジェネティクス電子版に掲載された。

(2018/1/29 05:00)

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