[ オピニオン ]
(2018/12/6 05:00)
勤務時間帯や場所にとらわれない働き方を認める動きが、企業で広がっている。従業員は育児や介護といった家庭事情などに応じて柔軟に仕事ができるようになり、労働生産性向上も期待できる。加えて不要不急な会議を減らすことで、従業員の負担軽減や経費の削減に役立つ。企業による制度改革が進む中で、実効性を高めるためには、管理職や経営層が率先して手本を示すことが必要不可欠だ。
スマートフォンや、Wi―Fi(ワイファイ)など無線通信網の普及を背景に、ホワイトカラーであればノートパソコンを使い外出先でも仕事ができる時代になった。インターネットを経由したウェブ会議、単文のメッセージを頻繁にやりとりするショートメッセージやチャットツールも普及している。こうした中、企業も毎朝定時に出社し、外出時以外は夕方までオフィスに居なければならないという決まりを見直す。
住友商事は11月、在宅勤務などのテレワーク制度と、勤務義務のある時間帯をなくした「スーパーフレックス制度」を導入した。平日の総日数×7時間15分を、月ごとの総所定勤務時間とし、1日の勤務時間を調整できる。個人の都合に合わせて早朝から仕事をする、あるいは午後から出社するといったことも可能だ。ただテレワークは週に2日相当(14時間30分)の上限を一律に設ける。
照明専業大手メーカーのコイズミ照明(大阪市中央区)は、2019年4月にテレワークや時差出勤に加え、無駄な会議を減らすため会議ごとの人件費などを見える化する仕組みを取り入れる。生産性を高めつつ多様な勤務形態を認めることで従業員が働きやすい職場環境を築き、人材の定着につなげる。
生産・開発や店舗といった現場を除けば、営業や専門職などは時差出勤やオフィス外勤務を利用しやすい。社会的に見ても、通勤ラッシュの緩和や雇用の安定確保にもつながる。制度改革を「画餅に帰す」ことのないよう、上司が手本を示し、部下が働きやすい環境を整えることも必要だ。
(2018/12/6 05:00)
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