社説/五輪の感染症対策 迅速な初動対応で封じ込めを

(2020/1/27 05:00)

東京五輪・パラリンピックの開幕まで半年となった。大規模イベントにおける感染症対策の重要性を再認識したい。特に経営資源が限られる中小企業は事業継続計画(BCP)で初動対応を早め、社員の安全確保に努めてほしい。

中国発の新型ウイルス肺炎の国内感染が懸念されている。中国政府は団体旅行を禁止したが、すでに数十万人規模が訪日中だ。五輪に参加する国と地域は206で、選手約1万1090人、ボランティア約11万人、観戦者を含めると1000万人以上が集まる。

厚生労働省によると、リスクの高い感染症はワクチン予防可能疾患(麻疹、風疹、侵襲性髄膜炎菌感染症、インフルエンザ、百日咳)、新興・再興感染症(中東呼吸器症候群、蚊媒介感染症)、食品媒介感染症、結核などが知られている。今回の新型肺炎も流行が続く危険性がある。過去の五輪では2002年ソルトレークシティー大会でインフルエンザ、16年リオデジャネイロ大会でジカ熱が発生した。

対策の要は発症時の初動対応の迅速化だ。東京都は対応策を6カ国語でまとめた小冊子を作成した。宿泊施設や訪日客への周知徹底が重要だ。選手が事前合宿や競技で訪れる地方の医療機関も診断用キットやワクチンの用意を急ぐ必要があろう。

中小企業での封じ込めもカギだ。職場が小規模で社内に感染が広がりやすく、初動対応を誤ると取引停止など深手を負いかねない。日本環境感染学会の吉田正樹理事長(東京慈恵会医科大学教授)は「まずはワクチン接種で予防を」と助言する。

社内に感染者が出たら他者との接触を避ける。工場ならいったん稼働率を下げ、社員を自宅待機させる。流行はすぐに収束せず数カ月続く可能性もある。押印不要の稟議(りんぎ)や在宅勤務の仕組みを整えておきたい。

中小企業のBCP策定率は16・9%(19年版中小企業白書)。策定が難しい零細企業でも小回りの良さを生かし、的確な情報に基づき、効果的な対策を講じておきたい。最も恐れるべきは無関心と無策だろう。

(2020/1/27 05:00)

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