社説/変わる雇用制度 国際競争へ人材育成に投資せよ

(2020/1/24 05:00)

経済環境が激変する中で、自社がとるべき雇用戦略とは何か。企業トップの明確な意志と、それを社員に説明する丁寧さが求められている。

経団連が発表した「2020年版経労委報告」は、年功序列型の賃金体系や終身雇用といったいわゆる日本型雇用制度が課題を抱えていると指摘し、職務内容や市場価値で報酬を決定する「ジョブ型」の人事・賃金制度の導入を訴えた。

国際市場で勝ち残るには、多様な人材が必要で、その一人ひとりが主体性を持った働き方をしていくべきだという、中西宏明経団連会長の思いが色濃く反映されている。もっともな主張であり、すでにソニーや日立製作所などグローバル競争にさらされる企業では、導入や労使協議も進んでいる。

ただ、注意したいのは、日本では人材の流動性が、欧米ほど活発ではないことだ。高額で獲得した人材が、自社の成長に寄与しない場合にどう処遇するのか、ジョブ型と従来型の社員が併存するなかで、全員がモチベーションを持って仕事に取り組めるのか、併存するからこそさまざまな課題も発生する。

過去にも拙速に成果主義を導入し、失敗した企業の例もある。他社がジョブ型を導入したから自社も、という安易な発想で取り入れれば組織に混乱を招く。トップが狙いを明確にし、それを労使で協議し、自社にふさわしい導入のあり方を検討する丁寧な対応が求められる。今回の春季労使交渉でもしっかり話し合ってもらいたい。

同時に社員の能力を高める人材育成投資にも力を入れるべきだ。従来のOJT型では補えない部分は、社外の専門機関の活用や社員の自発的な要望を補助する仕組みも必要だろう。誰もが成長する機会を与えられてこそ、社員は力を発揮する。

長い目で見れば、日本型雇用が変化するのは避けられない。ただ、非正規労働者を増やし、格差拡大を招いた過去の政策の歪みを再現してはならない。社会全体で人材の流動化を受け止め、再教育して世に送り出す、国を挙げた人材育成策も必要だ。

(2020/1/24 05:00)

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