社説/東芝総会調査報告の波紋 全容解明が改革への第一歩だ

(2021/6/15 05:00)

日本の企業統治(コーポレートガバナンス)の未成熟さを国内外に露呈させた事案である。経済産業省、東芝は事実を詳細に明らかにする責務がある。

東芝の2020年7月の定時株主総会について、外部の弁護士による調査委員会は「公正に運営されたものとはいえない」と結論づけた。

報告書は東芝筆頭株主である物言う株主、エフィッシモ・キャピタル・マネージメントの要請により、エフィッシモが依頼した弁護士グループが作成した。経産省と東芝の経営陣が“連携”して、東芝の大口株主に圧力をかけ、議決権行使に影響を与えた経緯が記されている。

経産省は改正外国為替及び外国貿易法(外為法)を盾に、外資ファンドに議決権行使の翻意を促した。事実なら法の趣旨を逸脱した行為である。東芝は原子力発電や国のインフラを担う外為法上のコア業種企業であるが、規制の対象は安全保障に関するものであり、株主提案が安全保障に抵触するとは言えない。経産省が法を恣意(しい)的に運用することはあってはならない。

東芝は企業統治が不全状態である。特に監査委員会は今回の調査報告より前に、独自の調査で、経営執行側の不適切な行為を把握していたにもかかわらず、「不当な干渉に関与したことは認められない」との報告を出していた。執行側の暴走を監視する役割の監査委員会が、その役割を果たしていなかった。

東芝は次期役員体制で、社外取締役で監査委員会委員長の太田順司氏と、監査委員会委員の山内卓氏の再任を急きょ取りやめ、経産省との交渉を担当した豊原正恭副社長と加茂正治上席常務も退任すると発表した。当然の対応だろう。

14日に会見した東芝の永山治取締役会議長は「報告書の指摘を重く受け止めている。第三者の調査で責任の所在を明確にし、新たな取締役を迎え取締役会の再構築を図る」と述べた。

経産省、東芝はすべての経緯を明らかにすべきだ。企業統治改革に実効性を持たせなければ、日本は海外から見放された存在となってしまう。

(2021/6/15 05:00)

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