産業春秋/育休、9年の変遷

(2022/7/13 05:00)

安倍晋三元首相が2013年に掲げた成長戦略の中で、賛否を呼んだ政策があった。少子化対策として打ち出した3年間の育児休業取得の推奨。「3年間抱っこし放題」との言い回しでアピールした。

当時、この表現に違和感を抱いた人が少なくなかった。女性は育児に専念すべきといった自民党の伝統的な家族観が透けて見えたためだ。3年も職場から離れればキャリアが分断してしまうとの声もあった。

ただ注意したいのは、育休3年の推奨と同時に、待機児童ゼロも成長戦略に掲げていたことだ。子どもを保育園に預けて勤務することが難しい環境にあったことも忘れてはならない。育休3年には「賛成者」もいたのだ。

その後、「日本死ね」に象徴された待機児童問題は大幅に改善。女性活躍に焦点が移り、男性の育休取得を促す施策へと軌道修正された。男性の育休取得率は20年に1割超に。後押しする改正法も施行された。

東京都は「育休」の愛称を「育業(いくぎょう)」とすることを決めた。「休む」イメージから取得をためらう男性に職場の「業務」同様に堂々と向き合ってほしいとの思いを込めた。13年からこの9年間、働き方や職場環境が変わる転換期だったのかもしれない。

(2022/7/13 05:00)

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