働きやすさで新卒が全員女性に 金子製作所

社内にカフェ・工場は土足厳禁

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  カロネコカフェ１階は従業員がくつろげるカフェスペース

金子製作所（さいたま市岩槻区、金子晴房社長）は、２０１２年度の経済産業省「ダイバーシティ経営企業１００選」に選ばれた。女性や外国人を含む多彩な経歴やスキルを持つ人材を積極的に採用して組織風土を改革し、新市場開拓を進めたことなどが評価された。それから１０年。ダイバーシティーの取り組みを継続した結果、２３年４月入社の高卒社員１５人全員が女性になった。秋山朋子副社長は「独自の採用活動や働きやすい職場づくりに取り組んだことが採用につながった」と強調する。

金子製作所は光学機器や医療機器、航空機の部品の切削加工を手がける。内視鏡先端部のステンレス部品の加工など医療分野が売上高の８割を占める。航空機エンジン部品製造も４０年近くの歴史がある。

４月に入社した女性高卒者は本社が７人、いわき工場（福島県いわき市）が８人。女性を優先して採用したわけではなく、たまたま２３年は全員が女性だったという。

同社では「カロネコ」というオリジナルキャラクターを作り、「カロネコ大作戦」と称して独自の採用活動を進める。「カロ」は金属加工の「加」の字を分解。金子製作所の「カネコ」と「ネコ」をかけ合わせた。「オリジナルグッズを作って高校の先生に会社を知ってもらうとともに、高校の近くの電柱にもカロネコの広告を掲示した。校外のマラソンで電柱の広告を見て、当社に応募してきた生徒もいる」（秋山副社長）という。

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  土足厳禁のいわき第２工場

１８年には「カロネコカフェ」と呼ぶ２階建ての建物を本社敷地内に建設した。１階はカフェスペースで２階は社員食堂。ベランダにはデッキチェアもある。「海外のメーカーを視察すると工場内にくつろげるスペースを設けている会社が多い。『製造業にはこんな施設は不要』という日本の古い考え方が嫌だった」（同）とカフェ建設の狙いを話す。

量産を手がけるいわき工場では、２１年に完成した第２工場の工場内を土足禁止にしたところ、品質向上にもつながり社員の意識も変わったため、第１工場も土足禁止にした。こうした「キレイ」「オシャレ」「優しい」をキーワードとした取り組みの結果が「２３年の新卒採用全員女性」という成果に結び付いた。