再生材料のSCM 垂直統合で使用済み製品回収

(2023/12/13 12:00)

  • 再生材料の調達では、使用済み製品の動きを捕捉し、適時に回収する仕組みが重要になる(イメージ)

昨今最も手に入れにくい原材料は何かと問われた場合、「再生材料」はかなり上位に入るのではないだろうか。消費者が選好するようになった、という需要サイドの事情もあるが、そもそも求める品質のものが適時・適量に市場に存在するとは限らない。供給サイドの話として難易度・重要性が共に高い状況といえるだろう。調達の観点より、再生材料のサプライチェーン・マネジメント(SCM)について考察してみたい。

再生材料のサプライチェーン(供給網)を上流へ向かってたどると使用済みの製品に行き着く。供給活動の要素としては「回収」と「再資源化」が含まれる。再資源化については新たに開発された再生技術が世間の耳目を集めがちだ。しかし、SCMにおいてより重要性が高いのは回収の方だ。使い終わった製品そのものが十分に集積できなければ再資源化の技術を生かすことができない。

ところが、いざ回収に取り組もうとすると一筋縄ではいかない。消費者の協調的な行動が必要であり、かつ、そもそも「使い終わり」についての判断が一様ではないためだ。本連載第10回でも触れたように、需要予測の対極に位置する「消費予測」が重要になる。

ブリヂストンの「リトレッド事業」はこれを克服する取り組みといえるかもしれない。同社は航空機用のラジアルタイヤを約350回の離着陸で回収し、摩耗した接地面(トレッド)を張り替えるという。東京を含め全世界5カ所に再生拠点があり、タイヤの荷重を支える部分(カーカス)が再生不可能なダメージを受ける前に回収する。回収後は品質検査を経て3回再利用される。垂直統合的に設計されたサプライチェーンを通じて使用済み製品の動きを捕捉し、適時に回収する仕組みだ。

歴史のわだちをたどるならば、再生材料の調達網も分業主体へと向かう可能性がある。拡大する情報の非対称性をいかに克服するか、循環社会への変容の文脈においてSCMも進化が求められている。

◇著者:MTIプロジェクト 『基礎から学べる!世界標準のSCM教本(日刊工業新聞)』の著者である山本圭一・水谷禎志・行本顕の3氏によって創設された世界標準のSCM普及推進プロジェクト。MTIは「水山行」のラテン語の頭文字。本連載はメンバーのうちASCMのSCMインストラクター資格を持つ行本顕が執筆を担当

(2023/12/13 12:00)

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