社説/相次ぐ官民連携 次世代車・曲がる電池で成果を

(2024/5/24 05:00)

次世代の自動車と太陽電池の開発・普及に向けた官民連携が加速する。政府は20日、官民による次世代自動車の戦略案を公表し、翌21日には次世代太陽電池として期待される、曲げられる太陽電池を普及させる官民協議会を発足すると発表した。日本経済をけん引する自動車産業の国際競争力を維持・強化し、再生可能エネルギーの普及も後押しされると期待したい。

経済産業省と国土交通省が次世代車の戦略案を公表。「SDV(ソフトウエア・ディファインド・ビークル)」と呼ばれる次世代車は、インターネット経由でソフトウエアを更新でき、新機能を後付けで加えられる。安全走行や事故防止の機能を向上させたり、自動運転機能の付加も想定される。車体販売後も収入を得られ、新たなビジネスモデルとしても期待される。

戦略案では、2030年にSDVの目標販売台数を1200万台とし、世界シェア3割の獲得を目指す。目標達成に向け、次世代車の競争力を左右するソフトウエアについて、国内自動車メーカーが共同開発するよう求めた。ソフトの仕様共通化に向け、トヨタ自動車やホンダ、日産自動車のほかにも連携の輪が広がることが求められる。

SDVに必要な高性能な半導体や、自動運転の前提となる高精度3次元地図の開発も加速する方針だ。SDVは自動車メーカーの自前主義では完結せず、官民および同業、さらに異業種との幅広い連携が欠かせない。自動車のデジタル化で先行する米中を追撃し、自動車産業の国際競争力を強化してほしい。

曲げられる「ペロブスカイト太陽電池」の実用化・普及に向けた官民協議会は、メーカーや不動産、政府・自治体、研究機関など約150社・団体が参加する。実用化に必要なサプライチェーン(供給網)を構築する狙いがある。日本は太陽光パネルの立地に課題があり、設置場所を選ばない同電池は再生エネの切り札とされる。官民協議会は今秋にも中長期的な導入目標をまとめるという。再生エネの主力電源化に向け、蓄電池の整備とともに普及を急ぎたい。

(2024/5/24 05:00)

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