外国人社員も管理職に登用 眞和興業

(2024/4/30 12:00)

DX推進、暗黙知を言語化

公共インフラ向けを中心とする鉄鋼製品の溶融亜鉛メッキを行う眞和興業(愛知県江南市、眞野祥典社長)は、環境マネジメントと並ぶ経営の軸として人材の多様化を掲げる。国籍や年齢、性別にとらわれない組織づくりを実践しており、フィリピン、ベトナムなど外国人従業員は20人を超え、従業員の半数近い。多様性を成長の源泉の一つに据え、人口減少など環境変化にも動じない持続可能な企業を目指している。

  • 製品の仕様などの確認を行う田村さん(中央)

溶融亜鉛メッキは鉄鋼製品を錆から守る表面処理技術。建物、橋梁などインフラ向けの鉄鋼製品のメッキ加工を得意とし、メッキの前後工程を含む一貫対応を強みとする。

国連の持続可能な開発目標(SDGs)の考え方を経営に取り入れており、環境マネジメントとして、本社のある江南工場に廃酸を資源化する循環システムを構築。さらに、環境経営と並ぶ会社の軸として進めているのが多様性のある組織づくりだ。

もとは人材確保が難しかったために始めた外国人材の採用は、今では人口減少など事業環境の変化に対応し、生き残っていく上で重要な戦略となっている。「外国人社員も管理職登用など日本人と差がない」(眞野社長)とし、課長や主任クラスに昇格したケースもある。

外国人従業員には日本語教育を施すほか、工場現場では作業手順や仕様などを写真入りで各国の言語で表すなどさまざまに工夫している。ニュースを翻訳して伝えるなど、私生活の面でも細やかな気配りを欠かさない。

まもなく入社6年になる日系フィリピン人の田村ハルオさん(34)は、メッキ加工後の仕上げと検品を担当し、品質を支える。「皆が優しく、相談できる環境。現場の安全対策もしっかりしており、安心して働ける」(田村さん)という。

  • メッキ加工工程で責任ある業務を任されることも多い

「多様化が進むと、一定の指針が必要になってくる。業務を標準化、ルール化していくことが大事」(眞野社長)と考えており、業務のデジタル変革(DX)を推進中。すでに生産管理と経理の一元管理化に取り組んでおり、今後は工場へと展開を図っていく。

メッキ加工は経験、ノウハウなど勘所に頼る作業が多い。外国人従業員とは“あうんの呼吸”での意思疎通が難しいところがあり、ベテラン社員がいる間に暗黙知を言語化したいという。異なる背景、能力を持つ人材が各自の特性を生かしながら働ける環境づくりを加速している。

(2024/4/30 12:00)

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