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社説/温室効果ガス削減長期戦略 政府による技術普及支援も必要

(2019/5/23 05:00)

政府は温室効果ガス排出量の大幅削減に向けた長期戦略案を公表した。技術開発が柱となっており、産業界から歓迎の声が出ている一方で「ビジネスやイノベーションに頼りすぎ」という批判もある。政府による新技術の普及支援も不可欠だ。

温暖化対策の国際ルール「パリ協定」は、産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑える目標を掲げる。世界の科学者は目標達成には2050年までに温室効果ガス排出量を10年比40―70%削減し、75年には、排出を実質ゼロにする「脱炭素」が必要とする。長期戦略は「2度達成」の国別の道筋。各国はパリ協定運用が始まる20年までに国連に提出を求められている。

政府が公表した長期戦略案は、50年までに日本の排出量を80%削減する。従来目標を据え置いた格好だが、50年以降の方向性として「今世紀後半のできるだけ早期に脱炭素社会を実現する」と加えた。正式決定すれば先進国で初の脱炭素目標となる。意欲的な方向性を打ち出したことを評価したい。

ただし、実現に向けては「ビジネス主導による非連続なイノベーション」を基本としており、産業界頼りの印象が否めない。具体策として再生可能エネルギーの主力電源化、二酸化炭素(CO2)排出が多い火力発電の依存度低減などを列挙したが、数値目標を掲げなかった。再生エネ導入量などの数字を政府が示せば、企業も事業戦略に反映しやすいのではないか。

また、排出したCO2の回収・利用、水素社会の実現、移動革命など技術開発テーマも並んだ。家庭用燃料電池や水素自動車を世界に先駆けて実用化した日本には“環境立国”の自負がある。しかし、90年代よりも温室効果ガスの排出量が増えた。

技術開発だけでは排出は減らず、政府による普及支援も必要だろう。CO2排出削減の義務化、新製品購入の補助金や税制優遇など、政策による後押しがあれば普及も早い。長期戦略は6月に日本で開く主要20カ国・地域(G20)首脳会議までに正式決定する。技術普及を先導する政策も盛り込んでほしい。

(2019/5/23 05:00)

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