社説/厳寒の電力逼迫 節電への呼びかけが足りない

(2021/1/14 05:00)

電力の安定供給が脅かされる事態だ。節電を強く呼びかける必要がある。今後の電源構成を考える教訓としたい。

年初来の記録的な寒波で、全国的に電力需給が逼迫(ひっぱく)状態にある。大手電力各社は発電設備をフル稼働させ、使用率が99%に達したところもある。電源開発(Jパワー)は停止中の石炭火力発電の燃料に重油を使って発電するという異例の対応もとる。

原因は液化天然ガス(LNG)の不足だ。日本の主力電源であり、約98%を輸入に頼る。石油のように長期備蓄ができず、需要が急増しても、即座に調達量を増やすことができない。

電力広域的運営推進機関は昨年末から繰り返し、地域間連系線の運用容量拡大や事業者間の電力融通を指示。並行して発電事業者に「最大出力での運転」を命じた。それでも需給は逼迫し、日本卸電力取引所(JEPX)のスポット価格は過去最高値をつけ、高値水準が続く。相場で料金を決める新電力にとっても経営の危機である。

供給側がとる対応はほぼ限界であり、需要を抑制しなければ、需給調整ができず最悪の場合停電も起きかねない。

電気事業連合会や電力各社は需要家に節電を呼びかけている。一方で、経済産業省は「効率的な使用」と呼びかけるが、国民に切迫度が伝わらない。より強い節電要請を出すべきだ。全世帯が不要な照明や家電利用を控えるだけでも効果はある。

新型コロナ感染症による緊急事態宣言発出下で、さらに節電もとはいいづらいが、厳冬期の停電は人の生死にも関わる。

構造的な課題は原子力発電所の長期間の停止で安定供給が確保できず、LNGに頼った電源構成となっていることも大きい。主力電源化を目指す太陽光や風力は悪天候では戦力にならない。こうした変動の大きな再生可能エネルギーを増やすには、蓄電設備の整備や電力不足時の予備発電所などのコストを上乗せする覚悟が必要だ。

大規模停電は、現代社会において自然災害に劣らぬ脅威である。改めて供給体制を見直し、平時から十分に備えたい。

(2021/1/14 05:00)

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