社説/岸田政権の緊急課題(上)感染対策基準、政府が明確化を

(2022/7/12 05:00)

自民・公明両党は第26回参議院選挙で大勝し、内外に山積する課題の解消を有権者から託された。緊急性の高いコロナ禍対策や物価高対策などへの取り組みに早期に着手してもらいたい。中でもコロナ禍対策は自治体や医療機関任せにせず、政府がまん延防止等重点措置の適用基準を定めるなど指針を明確化することが求められる。

岸田文雄首相は、病床使用率や重症者が低水準で推移していることを理由に、現時点では行動規制を実施しない考えを示している。だが明確な基準はなく、自治体が重点措置の適用を政府に申請し、政府が承認する自治体主導の仕組みになっている。東京都などは繰り返し政府による明確な基準づくりを要望しており、岸田政権のリーダーシップが期待される。

政府は秋の臨時国会に、感染症対策の司令塔となる「内閣感染症危機管理庁」の新設や、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターの統合などを盛り込んだ感染症対策の関連法案の提出を予定する。危機管理庁は厚生労働省と内閣官房に分散していた担当部門を一元化し、首相直属の組織とする。省庁縦割りを是正し、迅速で効果的な感染対策を講じるという。

また二つの研究機関の統合によりワクチンや治療薬の開発を推進するほか、政府・自治体が病床確保で医療機関に直接指示できるようにするなど、強い権限を与える体制も整備する。

これらの施策が有効に機能することを期待したいが、足元の新規感染者数の急拡大には間に合わない。物価高騰に見舞われている産業界は、感染対策と経済活動の両立を望んでいる。ウィズコロナを実現できる基準を明確に示すなど、参院選で託された課題に早期に取り組むことが政権に求められる。

最近の新規感染者の増加は、感染力の強いオミクロン変異株「BA.5」への置き換わりが進んだためとみられる。感染防止の基本対策を各人が徹底し、若者の3回目、高齢者の4回目のワクチン接種も推進する必要がある。効果を確認できた国産治療薬の実用化も待たれる。

(2022/7/12 05:00)

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