産業春秋/デジタル課税、実現は米国次第

(2023/7/14 05:00)

「デジタル課税」。多国籍企業は拠点を持たない国で稼いだ利益でも、その国に税を納めなければならない国際課税ルール。国内に企業の拠点がなければ課税できなかった税の原則がおよそ1世紀ぶりに変わろうとしている。

約140カ国・地域が、新たな国際課税ルールを盛り込んだ多国間条約に同意した。デジタル課税の創設はその一つで、多国籍企業の課税逃れを防止する狙いだ。各国による条約批准などを経て、2025年の発効を目指している。

課税対象となる企業は売上高200億ユーロ(約3兆円)、利益率10%超で、100社程度とみられる。多くが米国企業で占められる見通しで、「GAFA」と呼ばれる米巨大IT企業などが想定される。

米国が条約に批准するかが最大の焦点になる。米国に集中している税収が各国に分配される新ルールを果たして受け入れるのか。批准するためには米上院で3分の2以上の賛成が必要だが、議席が拮抗(きっこう)する野党・共和党は反対する。

バイデン米大統領は24年の大統領選挙で再選を目指している。税の公平性を実現するため共和党を説得し、条約の批准を目指すのか、有権者を意識し内向きの政治を選択するのか注目したい。

(2023/7/14 05:00)

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