産業春秋／日本と中国の若者就職事情

中国で「高考（ガオカオ）」と呼ばれる全国統一大学入試が先週末に行われた。日本以上に学歴社会の中国。就職先など人生を左右する受験は、かつての官僚登用試験「科挙（かきょ）」を彷彿（ほうふつ）とさせる。

出願者数は前年比で５１万人多い１３４２万人で、過去最多を更新した。中国の一人っ子政策は２０１４年まで行われており、しばらくは一人っ子世代が高考に挑む。親が子どもにかける教育費は１人当たり国内総生産（ＧＤＰ）の６・３倍に達するという。

多額の教育費をかけ、難しい試験を突破しても大学卒業後の就職は楽観できない。中国の４月の若者の失業率（学生を除いた都市部）は１４・７％に達する。不動産不況などで内需が停滞する中、厳しい買い手市場が続く。

翻って日本。リクルートによると、２５年卒業予定の大学生のうち、１日時点の就職内定率は８２・４％と、１７年以降で過去最高を更新した。上場企業の２４年３月期の当期利益は過去最高を更新したほか、人手不足も追い風に空前の売り手市場にある。

東京都の「合計特殊出生率」が初めて１・００を下回り、０・９９となった。一人っ子にも届かない。人手不足に支えられた好調な就職内定率に喜んでばかりはいられない。