産業春秋／岸田首相、“もしトラ”も視野に訪米

「名は体を表す」というが、どうだろう。Ｔｒｕｍｐの意味を調べると名詞では“切り札”、動詞では“他より優れたことをして勝利する”とある。語源は大勝利や征服を意味するＴｒｉｕｍｐｈだ。

日本記者クラブでは米大統領選挙についてシリーズで取り上げ、日米の識者が語っている。投票は７カ月先なので、選挙結果の予想を明言する向きはないが、話題は共和党のトランプ氏に集中する。関心は“もしトラ”にある。

権威主義者のトランプ氏。自分が強く見えればいい、経済では保護主義、自分をもうけさせてくれればいい。そういう性向だと指摘される。同盟国にも強く要求を突き付けるのは、大統領在任時のことを思い出せば想像に難くない。

日本製鉄のＵＳスチール買収にトランプ氏は反対を表明し、バイデン大統領も難色を示す。ただ米大統領選挙の結果によらず、買収が米国にも利益になると明確に示せれば前進できると期待したい。

岸田文雄首相は１０日に日米首脳会談に臨む。同盟深化を訴え、バイデン大統領との蜜月を演出。１２日には現地のトヨタ自動車やホンダの工場を視察し、日系企業の対米投資をトランプ氏にアピールするジレンマの訪米となりそうだ。